1930年代の写真事情

 「めいたん」asin:4094510230という小説を読んでいたら、写真がちょっと面白い登場の仕方をしていた。お話の舞台は1930年代のイギリスで、Cさんの家でおこるちょっとした事件に、写真が絡んでくるんだけど、その設定に無理……と言わないまでも、微妙な所がちらほら。
 例えば「至極普通の三十五ミリフィルム」という表現があるんだけど、映画用35mmフィルムをスチル写真に流用したのはライカが始祖。 で、そのライカの最初の市販モデル Leica I は……と調べてみると1925年らしい。 ので、35mmフィルムが当時のイギリスで一般的なフォーマットだったかどうかは疑問。 まー、場所がCさんの家なので、そういう新しいモノが存在するコト自体はありうるだろけど。
 また、写真はレンズじゃなくてピンホールで撮影という面白っぷり。 それで写真とれるのだろうか…? と、調べてみると、ピンホールカメラの露光時間は晴天/ISO100で2秒くらいらしい。当時のフィルム感度がどれくらいかは分からないんだけど、ISO25くらいでも、晴れた日で被写体の動きが少なければ、8秒くらいの露光時間で撮影できるかも。
 さらに写真は当然プリントの形で登場するわけで、フィルムの現像行程まで紹介されているモノの、引き延ばし工程についての言及が無い……とか言うのは酷な話か。そこまで書いたらクドくなるしね。

ま、話自体は面白かったので、些末なコトではあります。


 妙なきっかけで戦前の古写真の撮られ方について思いを馳せてみるのは、それはそれで面白かった、というお話でした。