ニコンがやってはならんこと

 リコーの G4 Wide のレビューを探していたら、「DMC-LC1(のようなデジカメ)はニコンが作るべきだった」という記事を発見したんだが、私の意見では断じて否である。私に言わせれば、このタイプのデジカメは、ニコンが絶対に作ってはいけないタイプのカメラである。
 DMC-LC1ってのは、M型ライカみたいな形をしてて、絞りリングとフォーカスリングがついたマニュアル指向、のデジタルカメラであるが、その実態は一部で揶揄されているようにマニア指向と言った方が正確である。このデザイン、一部のマニアには案に相違せず大受けのデザインらしいが、私に言わせれば機能を伴わないデザインほどカッコ悪いデザインのはないマニュアル指向がセールストークにすぎないことは、光学的なピント調節機構がないことからも明らかだ。外観から判断する限り、ファインダーはEVFだと思われるが、(よほど革新的なEVFを開発したというのでない限り)そのファインダーではまともにピント合わせができないはずだ。このカメラを有り難がるマニア層は、ライカの形をしていることだけを有り難がり、ピントを合わせた気分になりたいだけのイカマニアだろう。
 そういうクソなマニア狙いカメラは、ニコンが絶対に手を出してはいけない分野である。ニコンの名が付く商品は、F5 から FM3Aに至るまで、なんらかの機能上の要求から生まれた商品でなければならない。マニアの欲求を満たすための商品でしか無い物を作れば、それはニコンの名を汚すことになるだろう。


 ちなみに G4 Wide のレビューは妥当だと思ったので念のため。あとEVFは、一眼レフをミラーボックスの制約から開放する機構としては期待している……が、ワンタッチで倍率を変更する機構でもつけない限り、というかそれでもマニュアルフォーカスは厳しいと思う。むしろオートフォーカスと併用して使われるべき技術であり、無理にマニュアルに固執するならEVF+二重増合致式測距儀ならまだしもアレなのだが。